CPAとは│設定方法と計算式・改善方法を解説
WEB広告を運用しているマーケターであれば、CPAという言葉を目にしたことがあると思います。しかし、CPAとはどのような意味なのか、どのように計算するのか疑問に感じているのではないでしょうか?この記事では、CPAの概要から計算方法、CPO・CPRとの違い、設定方法、改善方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。
CPAとは?
CPAとは、顧客及び見込み顧客を1人獲得するためにかかったWEB広告の出稿費用です。
Cost Per Acquisition、もしくはCost Per Actionの頭文字を取ってCPAと呼ばれています。
Cost Per Acquisitionをそれぞれ日本語に訳すと、Cost=費用、Per=あたり・ごとに、Acquisition=獲得となり、獲得するごとの費用といった意味になります。
顧客及び見込み顧客の獲得では、問い合わせページや会員登録ページなどから個人情報を入力してもらうといった具体的な行動が発生することから、 Action=行動を含めたCost Per Actionと表現されることもあります。
ここで言う「顧客」とは、実際に商品やサービスを購入したユーザーを指します。CPAでは、何が売れたのか、いくらの商品が売れたのかに関わらず、広告を経由して購入してもらえた段階で顧客を「獲得」したとカウントします。
一方、「見込み顧客」とは、現時点では成約には結びついていないものの、将来的に商品やサービスを購入する可能性があるユーザーです。CPAでは、ユーザーの氏名や住所、メールアドレスなどを取得できた段階で、見込み顧客を「獲得」したと判断します。
広告がクリックされただけでは、CPAにカウントしません。
CPAの計算方法
CPAの計算式は以下の通りです。
CPA=WEB広告の出稿費用÷獲得できた見込み顧客の人数
例)
・問い合わせページで入力が完了した人数が400人、広告出稿費用 200,000円の場合
CPA=200,000円÷400人=500円
CPAと「CPO」「CPR」の違い
CPAと「CPO」の違いは、 CPAは1件当たりのコンバージョン獲得コストなのに対して、CPOは1件あたりの新規受注コストを指していることです。
コンバージョンの定義を商品の購入やサービスの契約にした場合はどちらの値も同じになりますが、インターネットの場合、商材によっては購入・契約の前段階で発生する資料請求をコンバージョンに設定することがあります。
この場合、資料請求が発生し見込み顧客の個人情報が取得できた段階でCPAがカウントされます。実際に商品やサービスを購入したかどうかは関係ありません。その後、資料請求をしたユーザーが実際に商品やサービスを購入した段階でCPOがカウントされます。
続いてCPAと「CPR」の違いですが、CPRとは「Cost Per Response」の略で、見込み客を1人に獲得するためにかかったコストです。
簡単に言うと、「無料サンプルの請求」や、「無料体験」「無料お試し」など費用が発生する手前の契約になったユーザーを獲得するためにかかった1件あたりのコストを指します。
こちらもCPAで設定するコンバージョンの定義を「見込み客獲得」に設定した場合は、CPAとCPRはほぼ同じ意味となります。
▼ 分かりやすく以下の例を元に説明します。
【MEO管理ツールの広告出稿例】
・広告費:100,000円
・CV:資料請求
・資料請求件数:10件(CPA)
・無料お試し契約:4件(CPR)
・契約件数:2件(CPO)
・CPA:100,000円÷10件=10,000円
・CPR:100,000円÷4件=25,000円
・CPO:100,000円÷2件=50,000円
事業によっては、このように「資料請求⇒無料お試し⇒契約」と設定できないケースもあると思います。そのため、自身の業態に合わせて適切なものを設定するようにしましょう。
また、企業によってはCPO・CPRをCPAと表現するケースもあるため、広告出稿を外注する場合などは事前に定義を確認しておく必要があります。
CPOとは
CPOとは、成約に結びついた顧客1人を獲得するためにかかったWEB広告の出稿費用です。
成約を獲得することが広告を出稿する目的の場合に、CPOを意識するのが一般的です。見込み顧客の獲得を意識しない場合、CPAと同じ意味になります。
CPRとは
CPRとは、見込み顧客を1人を獲得するためにかかったWEB広告の出稿費用です。
具体的な成約ではなく、見込み顧客を獲得することが広告を出稿する目的の場合に、CPRを意識するのが一般的です。成約が発生しないケースでは、CPAと同じ意味になります。
CPAの重要性
CPAには、広告の費用対効果に関する重要性があります。なぜなら、獲得したコンバージョン数だけでは、広告が適切に運用されているのか、費用を掛けた分だけ効果が出ているのかを確認することができないからです。
▼ CPAを確認することで以下のようなメリットが期待できます。
- 費用比較
- 広告設定見直し
- 費用対効果の可視化
CPAの目標設定方法
WEB広告を出稿する際には、事前にCPAの目標を設定しておく必要があります。なぜなら、費用をかけてコンバージョンを獲得しても、赤字になっているかもしれないからです。
【商品を1点販売して得られる利益額が5,000円の商品に関するCPAと最終利益額】
費用 | CV数 | CPA | 最終利益額 | |
広告A | 3,000,000円 | 500件 | 6,000円 | 1件あたり マイナス1,000円 |
広告B | 1,200,000円 | 300件 | 4,000円 | 1件あたり プラス1,000円 |
広告Aの場合、コンバージョンを500件獲得していますが、広告費が3,000,000円もかかったのでCPAが6,000円となり、1件あたり1,000円の赤字となっています。
一方、広告Bでは300件しかコンバージョンを獲得していませんが、費用が1,200,000円しか掛かっていないためCPAが4,000円となり、1件あたり1,000円の黒字です。
目標CPAを事前に設定しておけば、上記のように赤字になることはありません。
▼ CPAの目標を設定する手順は以下の通りです。
- 限界CPAを算出する
- 確保したい利益額を設定する
- 目標CPAを算出する
限界CPAの把握
CPAの目標を設定するには、限界CPAを算出する必要があります。なぜなら、損益分岐点を設定しなければどのくらい広告費をかけられるか分からないからです。
限界CPAとは、広告を出稿した場合の損益分岐点です。広告を出稿した結果、CPAが限界CPAになった場合、最終的な利益はゼロになります。
▼ 商品を製造・販売する場合の限界CPAの計算式は以下の通りです。
限界CPA=販売価格-売上原価-製造原価
販売価格が20,000円で、売上原価が6,000円・製造原価が9,000円の場合、限界CPAは5,000円となります。
限界CPA=20,000円-6,000円-9,000円=5,000円
▼ 問い合わせやホワイトペーパーダウンロードのように、売上が発生しないコンバージョンを設定している場合の限界CPAの計算式は以下の通りです。
限界CPA=平均売上単価×成約率
平均売上単価=500,000円・成約率が0.5%の場合、限界CPAは2,500円となります。
限界CPA=500,000円×0.5%=2,500円
確保したい利益額を設定
CPAの目標を設定するには、確保したい利益額を設定する必要があります。なぜなら、CPAと限界CPAが同じだと、利益がゼロになってしまうからです。
そのため、CPAを設定する場合は限界CPAではなく利益額を計算にいれた目標CPAを設定するようにしましょう。
- 限界CPA=20,000円
- 確保したい利益=10,000円
- 20000円-10000円=10,000円が目標CPA
目標CPAに関して次の項目でより具体的な計算方法を解説します。
目標CPAの出し方
目標CPAを算出する計算式は以下の通りです。
目標CPA=限界CPA-確保したい利益額
▼ 商品を製造・販売する場合の目標CPAの出し方
- 販売価格:20,000円
- 売上原価:6,000円
- 製造原価:9,000円
- 限界CPA:5,000円
- 確保したい利益額:3,000円
上記の場合、目標CPAは2,000円になります。
目標CPA=5,000円(限界CPA)-3,000円(確保したい利益額)=2,000円
CPAを改善させるための10の方法
CPAを改善させる方法は、以下の2点に集約されます。
- WEB広告の出稿費用を下げる
- コンバージョン数を増やす
なぜなら、CPAは下記計算式で算出されるからです。
CPA=WEB広告の出稿費用÷コンバージョン数
▼ それぞれの対策法は以下のようになります。
【WEB広告の出稿費用を下げる】
- 広告の品質スコアを改善
- 競合が少ないキーワードへ変更
- 出稿媒体の見直し
- 入札単価を抑える
- 必要に応じて広告の停止
- 広告のクリック単価を下げる
【コンバージョン数を増やす】
- クリエイティブの修正と改善
- ランディングページの見直し
- ターゲットの見直し
- コンバージョン率を高める
それぞれをバランスよく実施することで効率良くCPAを改善することができます。ただし、出稿費用を抑えることでコンバージョン数が低下し、CPAが悪化するケースもあるため注意が必要です。
広告の品質スコアを改善
広告の品質スコアを改善することで、広告の出稿費用を下げ、CPAを改善できます。
なぜなら、リスティング広告では品質スコアで広告がどこに表示されるのかが決まるからです。出稿費用が同じ場合、品質スコアが低い広告の方は検索外面の下部、あるいは2ページ目以降にされるかもしれません。
リスティング広告の掲載順位を高めるには、広告の品質スコアを改善するか、競合より高い金額で広告を出稿する必要があります。
つまり、広告の品質スコアを高めることができれば、出稿費用を抑えて掲載順位を高めることができるということです。
クリエイティブの修正と改善
クリエイティブの修正と改善をおこなうことで、コンバージョン数を増やし、CPAを改善できます。
なぜなら、広告クリエイティブとランディングページに書かれている内容にズレがあれば、広告がクリックされてもコンバージョンには繋がらないからです。クリック課金型の広告であれば、広告費用が無駄に消費されてしまうことになるでしょう。
コンバージョン獲得を意識した広告クリエイティブに改善することでCVRが改善され、CPAを下げることができます。
ランディングページの見直し
ランディングページの見直しをおこなうことで、コンバージョン数を増やし、CPAを改善できます。
理由は、「4-2.クリエイティブの修正と改善」と同じです。コンバージョン獲得を意識したランディングページに改善することでCVRが改善され、CPAを下げることができます。
ターゲットの見直し
ターゲットの見直しをおこなうことで、コンバージョン数を増やし、CPAを改善できます。なぜなら、自社のターゲットではないユーザーに対して広告を表示してもコンバージョンにつながることはなく、広告費用が無駄に消費されてしまうからです。
コンバージョンに近いキーワードで広告を出稿する、ターゲットの利用頻度が高い媒体で広告を出稿するといった対策でコンバージョン数を増やすことができ、CPAを下げることができます。
クリック単価を下げる
クリック単価を下げることで、広告の出稿費用を下げ、CPAを改善できます。なぜなら、クリック単価が低いほど少ない費用で多くのクリック数が期待できるからです。
クリック単価は、下記の計算式で算出されます。
クリック単価=広告費用÷クリック数
クリック単価を下げる方法は、広告費用を削減するか、クリック数を増やすことです。ただし、クリック単価を下げようとすることで、逆にCPAが悪化するケースも十分に考えられます。
コンバージョン率を向上させる
コンバージョン率を向上させることで、コンバージョン数を増やし、CPAを改善できます。なぜなら、コンバージョン率を高めることができれば、同じ広告出稿費用でもコンバージョン数が増加するからです。
▼ コンバージョン率は以下のような方法で高めることができます。
- 広告の品質スコアを改善
- クリエイティブの修正と改善
- ランディングページの見直し
- ターゲットの見直し
- 競合が少ないキーワードへ変更
- 出稿媒体の見直し
競合が少ないキーワードへ変更
競合が少ないキーワードへ変更することで、広告の出稿費用を下げ、CPAを改善できます。なぜなら、競合が多いキーワードほど広告出稿費用は高額な傾向にあるからです。
ただし、競合が少ないということは、多くの企業にとってコンバージョンが期待できないことを意味します。競合が少ないキーワードへ変更することで、逆にCPAが悪化するケースも十分に考えられます。
出稿媒体の見直し
出稿媒体を見直すことで、広告の出稿費用を下げ、CPAを改善できます。なぜなら、出稿媒体によってユーザーの利用者数や年代層が異なるからです。
出稿媒体を変更することで、広告費用は同じでもコンバージョン率が高くすることができる場合もあります。
入札単価を抑える
入札単価を抑えることで、広告の出稿費用を下げ、CPAを改善できます。なぜなら、入札単価を下げても広告の掲載順位が維持できるのであれば、広告出稿費用が低下するからです。
ただし、入札単価を抑えることで広告の掲載順位が低下すれば、逆にCPAが悪化するケースも十分に考えられます。
入札単価を抑えるのは、必要以上に高額な金額を設定している場合のみです。安易に入札単価を抑えてしまうと、CPAが低下するだけでなく、コンバージョン数も低下する恐れがあります。
「入札単価を抑える」ことが重要なのではなく、必要以上に高額な金額で広告を出稿していないか、適切な金額で出稿しているかを確認することが重要です。
必要に応じて広告の停止
必要に応じて広告の停止することで、広告の出稿費用を下げ、CPAを改善できます。なぜなら、コンバージョンが獲得できない広告を出稿し続けるとCPAが悪化するからです。
コンバージョンに結びついていない広告がないかを確認しましょう。
CPAを活用する際の注意点
CPAを活用する際には、あくまでCPAはマーケティング施策の成果を判断するための指標の一つであることに注意する必要があります。
なぜなら、広告を出稿する目的は利益を出すことであり、コンバージョンを獲得することではないからです。
▼ 下表のように、CPA次第で最終利益がマイナスになってしまう場合もあります。
費用 | CV数 | CPA | 最終利益額 | |
広告A | 3,000,000円 | 500件 | 6,000円 | マイナス1,000円 |
広告B | 1,200,000円 | 300件 | 4,000円 | プラス1,000円 |
また、広告出稿費用を下げることでCPAを下げようとすると、CV数が大きく低下し利益が出なくなるかもしれません。
費用 | CV数 | CPA | 最終利益額 | |
広告A | 3,000,000円 | 500件 | 6,000円 | マイナス1,000円 |
広告B | 1,200,000円 | 100件 | 12,000円 | マイナス7,000円 |
さらに、CPAを低下させることで商品1点当たりの利益が向上しても、CV数が大きく低下すれば利益総額が低下するケースもあります。
費用 | CV数 | CPA | 最終利益額 | 利益総額 | |
広告A | 4,000,000円 | 1000件 | 4,000円 | プラス1,000円 | 1,000,000円 |
広告B | 300,000円 | 100件 | 3,000円 | プラス2,000円 | 200,000円 |
また、CPAを改善するために費用をかけすぎると本末転倒になってしまいます。CPAの数値だけを意識するのではなく、マーケティング施策の成果を判断するための指標の一つとして捉え、利益が出ているのかを総合的に判断しましょう。
CPAに関するよくある質問
CPAに関するよくある質問と回答をご紹介します。
CPAは何の略か?
CPAは、Cost Per AcquisitionもしくはCost Per Actionを略したものです。
CPAとROASとの違い
CPAとROASとの違いは、獲得を目指すコンバージョンの価値に差があるかどうかと、原価や費用など含めて検討するかどうかです。
まとめ
今回は、CPAの概要から計算方法・設定方法・改善方法まで解説しました。
広告を出稿している媒体や課金方式、設定しているコンバージョンごとに、CPAを改善する方法は異なります。間違った方法で改善しようとすると、逆効果になってしまうかもしれません。
現時点のCPAを計算し、十分な効果が出ているか、どのような課題があるのかを確認したうえで改善に取り組みましょう。
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