リッチコンテンツとは?メリット・SEO効果を解説
今回はリッチコンテンツについて解説します。「どのようなコンテンツがリッチコンテンツなのか」「なぜ注目されているのか」「SEO効果はあるのか」と疑問に感じたことがあるのではないでしょうか?本記事では、リッチコンテンツの概要から導入が進んでいる理由、効果、課題について初心者にも分かりやすく解説します。
リッチコンテンツとは?
リッチコンテンツ(リッチメディア)とは、動画や音声、VRなどの視覚的な要素を豊富に含んだWEBコンテンツのことです。
テキストコンテンツでは発生しない、高度な技術を必要とするコンテンツのため、「贅沢・高価・貴重」を意味する「リッチ」という単語を頭に付けてリッチコンテンツと呼ばれています。
また、テキストもしくは画像だけで構成されたコンテンツに、動画や音声ファイルを加えることを「リッチ化」とも表現します。
リッチコンテンツは、情報量が多く訴求力が高いデータが含まれるため、作成に手間とコストがかかります。
以前は、リッチコンテンツの代表的なものとして、手軽に埋め込み可能なFlash動画が多用されていましたが、近年ではYouTubeのチャンネル開設をし自社サイト内に動画を埋め込む手法のリッチコンテンツが増加しています。
リッチコンテンツの種類と特徴
リッチコンテンツは、どのような種類が挙げられるのでしょうか。それぞれ、具体的なプラットフォーム名やメリットなどを紹介します。
動画コンテンツ
動画コンテンツとは、ブランディングやマーケティングを目的として制作された、.aviや.mov、.mp4などの動画ファイル形式で作成されたコンテンツです。リッチメディアの中では最も利用頻度が高くなっています。
プラットフォーム | ・YouTubeなどの動画配信サイト ・TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどのSNS |
活用事例 | ・動画広告 ・レシピなどの作り方手順や解説 ・商品・サービス説明の解説 ・自社サイトが手掛けた事例の紹介 |
メリット | ・直感的な理解に繋がる ・テキストより情報量が多い ・保存機能など2次利用がしやすい |
デメリット | ・デジタル著作権の管理が必要 ・冒頭で視聴者の興味を引き付けなければ離脱されやすい |
音声コンテンツ
音声コンテンツとは、音声データのみで構成されたコンテンツです。ラジオに変わるコンテンツとして、ポッドキャストなどの音声配信プラットフォームを利用しマーケティングに活用します。
対話形式での発信が多く、リスナー側は親しみやすさや共感を得やすく購買促進に繋がりやすいメリットがあります。
プラットフォーム | ・voicyやRadiotalk、stand.fmなどの音声配信プラットフォーム ・Apple PodcastsやGoogle Podcastsなどのポッドキャスト ・Audibleやaudiobook.jpなどのオーディオブック ・ClubhouseやSpoon、Twitter Spacesなどの音声SNS |
活用事例 | ・設置し季節にあわせた情報の発信 ・自社に特化した専門性のある情報の発信 |
メリット | ・画面を見なくても視聴できる ・トークによる商品紹介など親しみやすさがある ・動画コンテンツより安く制作できる |
デメリット | ・スピーカー・ヘッドフォンがなければ視聴できない ・視覚的な情報を盛り込めない |
漫画コンテンツ
漫画コンテンツとは、漫画をブランディングやマーケティングに活用したコンテンツです。ストーリー性を持たせた情報発信が可能で、難しい内容をあえてアニメを使うことで、ユーザーに親しみやすく身近に感じてもらうことができます。
動画コンテンツと同様に幅広い目的・用途で活用できますが、動画コンテンツに比べると普及は少ないです。
プラットフォーム | ・WEBサイト(オウンドメディア・ECサイト) ・WEB広告 ・TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどのSNS ・メールマガジン |
活用事例 | ・医療など難しく専門性の高い情報を漫画を取り入れ分かりやすく解説 ・塾や習い事などのPRが必要な場面でアニメーションを活用し親しみや興味を持たせる |
メリット | ・閲覧してもらうハードルが低い ・幅広い世代になじみがある ・難しい問題も身近に感じやすい ・少ないデータ量で制作できる |
デメリット | ・完成した後の修正が難しい ・著作権侵害を留意する必要がある ・動画より盛り込める情報量が少ない |
3Dコンテンツ(VRコンテンツ)
3Dコンテンツとは、立体視が可能な映像コンテンツを使用することで、バーチャルな世界をユーザーに提供することが可能なコンテンツです。
実際に足を運ぶのが難しい場合に活用ができ、コロナ禍での生活の変化により普及が増えたとも言えるでしょう。
活用事例 | ・不動産物件のバーチャル内見 ・バーチャル展示会の開催 ・アバターを使ったショッピング ・バーチャル観光 ・企業での研修や社内トレーニング |
メリット | ・実際足を運ばずリアルな体験ができる ・見込顧客へのアプローチになる ・業務効率が向上する |
デメリット | ・実際の情報と多少のズレがある ・制作費用や運用が高額になりやすい |
リッチコンテンツが注目された理由
近年ではWEBマーケティングや、WEB広告でリッチコンテンツを活用する企業が増加しています。テキストを中心としたWEBコンテンツは、競合他社から真似されやすく差別化が難しいほか、ユーザーへの印象が薄く成約や問い合わせが得られにくいという点が課題です。
上記のような課題を解決するために、リッチコンテンツが注目されるようになりました。
通信環境の向上
注目される背景として、通信環境の向上が挙げられます。リッチコンテンツは、テキストコンテンツと比較すると、データ量が圧倒的に大きく通信への負荷が掛かっていました。
その為、1990年代のダイヤルアップ接続(電話回線)を使ったインターネット期ではほぼ使用されていませんでした。
また、当時は従量課金で接続されていることが多く、リッチコンテンツのようにデータ量が大きいコンテンツが敬遠されていたことも影響しています。
また、2010年頃、iPhoneに代表されるスマートフォンが日本で普及し始めたころの通信速度は、100Mbps程度でしたが、5Gが登場した現在(2020年~)では、10~20Gbpsと100倍以上の早さに高速化しています。
1G(1980~1990年) | 10~100Kbps |
2G(1990~2000年) | 100K~1Mbps |
3G(2000~2015年) | 1M~100Mbps |
4G(2015~2020年) | 100M~1Gbps |
5G(2020年~) | 10Gbps |
また、無料Wi-Fiやデータ通信量無制限プランが増加したことで、スマートフォンで動画などのデータ量が大きいコンテンツを、気軽に視聴できるようになっています。
スマホやタブレットの普及
スマートフォンやタブレットの普及も、注目される背景の1つと言えます。
日本国内におけるスマートフォンの個人保有率は、2011年は14.6%、2016年は56.8%と増加し続け、2019年には保有率が67.6%と大幅に増加しています。
【参考】
第2部 基本データと政策動向 総務省
第1部 特集 データ主導経済と社会変革 総務省
また、パソコンでインターネットを利用する人よりモバイル端末から利用する人の方が多く、10代・20代は200時間以上利用しています。
【2020年におけるインターネットの平均利用時間】
全年代 | パソコン | モバイル端末 |
平日 | 58.1時間 | 105.8時間 |
休日 | 31.1時間 | 126.4時間 |
SISTRIX(シストリックス)の調査によれば、インターネット検索のうちPC検索は35.9%であるのに対し、モバイル検索の割合は64.1%となっており、モバイル端末から検索するユーザーの方が圧倒的に多くなっています。
【参考】
The proportion of mobile searches is more than you think – What you need to know
上記のデータから、パソコンでWEBコンテンツを利用するユーザーだけでなく、モバイルユーザーへ情報を提供する機会が増加していることが分かります。
現在では、モバイルユーザーがより手軽に動画の視聴が可能になったことから、リッチコンテンツを提供する価値が高くなっていると言えるでしょう。
リッチコンテンツのメリット
リッチコンテンツを含んだ自社のWEBサイトが、ユーザーに提供するメリットは以下の4つです。
- テキストでは伝えにくいコンテンツの提供が可能
- サイトの滞在時間を延ばせる
- 競合サイトとの差別化ができる
- ユーザーエクスペリエンスの向上に繋がる
テキストでは伝えにくいコンテンツの提供が可能
「母の日は何月何日なのか」「司法試験の平均合格率は何%なのか」といった情報であれば、文字や数字だけで十分に伝えることができます。
しかし、「手順が複雑なアプリケーションの使い方」「営業マンの話術・トーク力」「製品が完成するまでの工程」といった情報の場合、テキストデータや静止画像だけで表現しようとすると価値や魅力を伝えきれなかったり、誤解されたりするかもしれません。
テキストや静止画像だけで制作されたコンテンツと比較すると、動画コンテンツには5,000倍の情報を含めることができると言われており、たった1分の動画がWEBサイトの3,600ページに匹敵します。
リッチコンテンツなら、テキストデータでは表現しきれない動きや音をリアルに表現でき、ユーザーにとって直感的で分かりやすい説明ができると言えるでしょう。
サイトの滞在時間を延ばせる
多くのユーザーはWEBサイトのテキストを隅から隅まで読んでいるわけではなく、必要な情報が得られなかったり、読んでもよく分からない場合は、ページやサイトからすぐに離脱してしまいます。
文字を読むのが面倒と感じるユーザーが、増加していることも主な要因です。
一方、多くのユーザーがYouTubeなどの動画を視聴していることから、動画に対する抵抗感を感じるケースは少ないことが想定できます。
テキストだけで情報を伝えようとするより、リッチメディアを併用した方がより分かりやすい情報の取得に繋がるため、ユーザーの興味を引き滞在時間を伸ばすことができるでしょう。
Wistiaがおこなった調査によれば、動画が含まれていないページよりも、含まれているページの方が滞在時間が長くなっています。
競合サイトとの差別化ができる
似たような製品が多く溢れる現在では、競合他社との競争が激化していると言えます。そのため、文字や静止画だけの広告発信だけでは、自社製品の特長やメリットを伝えきれない可能性が高いです。
リッチコンテンツを活用することで、魅力的で分かりやすい商品説明が可能になり、ユーザーへのアピールの他、企業のブランディングにも効果的です。
商品のイメージや、使用感、特徴をより具体的に紹介できるため、ユーザーの購買意欲を高めることができるでしょう。
UX(ユーザーエクスペリエンス)向上に繋がる
通信速度による動画視聴環境の改善も、UX向上の1つと言えますが、文字のみでは伝えきれない表現をリッチコンテンツを活用することで、より分かりやすくユーザーに発信ができ、UX向上に繋がります。
例えば、使用方法の解説をテキストのみでするよりも、動画を使った解説をすることでより細かい情報の提供が可能になりユーザーの印象や満足度が高まります。
これまでのテキストコンテンツとは違った体験や、伝えるのが難しいニュアンスも提供できるようになるため、リッチコンテンツはこの先重要な施策です。
よりクリエイティブなアイディアをリッチコンテンツで提供することで、競合企業との差別化にも繋がり、自社企業にとってもユーザーにとってもメリットがあると言えるでしょう。
リッチコンテンツのデメリット
リッチコンテンツには前述したようなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 制作・編集コストがかかる
- 再生環境によってはコンテンツの効果が出せない場合がある
- コンテンツの質が求められる
制作・編集コストがかかる
リッチコンテンツを作成するにあたっては、ある程度のコストや時間がかかることは認識しておきましょう。
ただ動画を撮影したり音声を収録したりするだけではリッチコンテンツとは呼べません。リッチコンテンツを制作するためには、以下のようなさまざまな工程を経る必要があります。
【リッチコンテンツ制作に必要な工程】
動画近テンス | 音声コンテンツ | 漫画コンテンツ |
企画立案 素材となる動画を撮影 編集(テロップ・ナレーション追加など) | 台本の制作 音声の収録 編集 | 原案 原作 ネーム制作 下書き 作画 |
また、動画の撮影や音声収録には、様々な機材と各工程を担当する専門スタッフを用意する必要があります。ライターと編集者を中心に制作するテキストコンテンツと比べると、完成までにかかる時間もトータルコストも大幅に増加します。
ユーザーの通信環境によってはユーザビリティが低下する
テキストコンテンツの場合は、通信環境が悪くとも表示されるまでの時間に大きな差がなく、閲覧する端末によって見え方が大きく異なることはありません。
一方、リッチコンテンツはデータ量が非常に大きいため、通信環境や端末の影響を受けやすいです。
表示速度が低下する状況であれば、ユーザーがストレスを感じ視聴途中で離脱してしまう場合も考えられます。また、電車や街中など音声を出せない環境では、十分な効果を与えられないこともあるでしょう。
通信量の制限を設けたモバイル端末の契約をしているユーザーの場合は、通信量の上限を気にするため、せっかく発信した動画コンテンツを見てもらえない可能性もあります。
コンテンツの質が求められる
テキストコンテンツであれば、制作コストを抑えたコンテンツであったとしても、表示されるページの見た目には大きな差はありません。
一方、安価な機材で制作されたリッチコンテンツの場合は、画質が低下したり、聞き取りづらい音声になってしまったりする恐れがあります。
画質や音質の良し悪しによっては、途中で離脱されるかもしれません。低品質なリッチメディアだとユーザーからの信頼性が得られず、成約や問い合わせに結びつかないことも考えられます。その他、デザイン的な要素もコンテンツの質が求められるでしょう。
リッチコンテンツのSEO効果
コンテンツをリッチ化するだけでは、検索順位が上がるわけではなくSEOにおいて直接効果はありません。
Having a video on your page will absolutely not help you rank better in web search.
Gary 鯨理/경리 Illyes
ページに動画を掲載しても、ウェブ検索でのランクアップにはまったく役立ちません。
▼ 一方で、以下のような間接的なSEO効果があります。
- 滞在時間が増加する
- 動画検索からの流入が期待できる
- リッチリザルトとして表示されることでアクセス数が増加する
- 被リンクが獲得できる機会が増える
アクセス数や滞在時間が増加することで、検索順位が上がるのかについては、Googleのジョン・ミュラー氏が公式動画の中で否定しているため、期待できないという考えが一般的です。
また、リッチコンテンツに構造化データを設定することで、検索画面のスニペットに表示される可能性があります。検索エンジンにコンテンツが持つ情報を伝えることができ、ページがクリックされやすくなる効果も期待できるでしょう。
▼ リッチリザルト(リッチスニペット)については、別記事で詳しく解説しているので興味がある方は以下ページをご確認ください。
コンテンツをリッチ化する場合には、コンテンツの内容が分かるテキストを表示し、ユーザーの興味を引くサムネイルを制作することも重要です。
▼ 動画SEOの効果については、別記事で詳しく解説しているので興味がある方は以下ページをご確認ください。
リッチコンテンツの注意点
コンテンツをリッチ化する上で重要なことは、制作することが目的にならないようにすることです。
高額な費用と膨大な時間をかけて高品質なリッチメディアを制作しても、サイトあるいは企業の目的が達成できなければ意味がありません。
また、幅広いユーザーからのアクセスが獲得できたとしても、見込み顧客でなければ成約や問い合わせには得られないでしょう。
コンテンツをリッチ化する必要があるのか、高額なコストをかけても十分なリターンが得られるのかを検討することが重要です。
リッチコンテンツに関するよくある質問
リッチコンテンツに関するよくある質問を解説します。
「リッチ化」とは何のことですか?
WEBコンテンツに、テキストだけでなく音声や動画、アニメーションなどの動的コンテンツを入れ込んで競合サイトと差別化させることをリッチ化と呼びます。
ユーザー満足度を高める効果にも繋がります。
リッチメディア広告はどのような広告?
動画やアニメーションなど、高度な機能を含んだWEB広告の1つでユーザーの印象が残りやすいメリットがあります。動画やアニメーションが自動で再生されるタイプと、バナー広告にメッセージが表示され、ユーザーが操作をすることで広告内容が切り替わるタイプがあります。
まとめ
今回は、リッチコンテンツとは何か、なぜ注目されているのか、どのような効果・リスクがあるのかについて解説しました。
テキストコンテンツでは、十分に説明ができない情報を提供したい場合や、競合他社のサイトとの差別化を目指したりする場合には、リッチコンテンツの活用がおすすめです。
しかし、ただ制作しただけでは十分な効果が得られないことがあるため、どのような種類のリッチコンテンツが適しているのか、本当に制作する必要があるのかを検討した上で取り組みましょう。
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