RankBrain(ランクブレイン)とは?仕組みやSEOへの影響を徹底解説
Googleが検索アルゴリズムにAIシステムRankBrain(ランクブレイン)を導入したことにより、SEOにおいては検索意図を満たすコンテンツを作成することが重要になりました。本記事では、RankBrainの概要からSEOに与えた影響、RankBrainを考慮したSEOの手法まで、初心者にも分かりやすく解説します。
RankBrainとは?
RankBrain(ランクブレイン)とは、Googleが2015年に導入した検索アルゴリズムの事で、人工知能を使って検索クエリの意味を理解して、検索意図にマッチした検索結果を表示するためのAIシステムです。
RankBrainが導入される以前のアルゴリズムでは、被リンクのアンカーテキストやページ内にあるキーワードから検索クエリとの関連性を予想していました。
しかし、RankBrainの導入により、Googleの検索エンジンはユーザーが検索エンジンに入力したキーワードから検索する目的や意図を読み取ることができるようになり、より検索ユーザーが求めているコンテンツを検索結果に表示できるようになりました。
また、RankBrainの優れている点は、ユーザーが検索するクエリの意味を理解するために、検索結果画面上のユーザー行動データや様々なデータを元に人間が考えるのと同じように機械学習をおこない、最適な検索結果を表示させる所です。
その結果、人間のエンジニアとRankBrainでどちらが最適なWEBページを検索結果に表示させる事ができるか比べた所、人間が70%であるのに対して、RankBrainは80%という10%優れている結果となりました。
そのため、2015年の時点では200以上あるランキングシグナルの中で、リンク、コンテンツに続いて3番目に重要なシグナルであるとGoogleがコメントを出しています。
「RankBrain」については、Googleの公式ブログの中でも以下のように解説されています。
RankBrain:より賢いランキングシステム
Google 検索を支える AI 技術
Google が 2015 年に導入した RankBrain は、Google 検索にはじめて導入されたディープラーニング のシステムです。Google 検索初の AI システムであるということに加え、私たちが “言葉” と “概念” がどのように関連しているかを理解するにあたり、非常に革新的でした。
RankBrainは、ユーザーが検索するクエリの意味を理解するだけではなく、検索結果画面上のユーザー行動データを元に機械学習をおこない、検索結果に表示されたWEBサイトのランキングを調整します。
RankBrainが導入された背景
RankBrainが導入される以前の検索エンジンは、検索クエリがページ内にキーワードとして含まれているかどうかの情報を元に検索結果を作成していました。
そのため、ユーザーが入力した検索クエリに対して、ページ内に同じキーワードが含まれていない場合、関連性の高い情報が検索結果に表示されないという問題を抱えていました。
例えば、「iphoneケース クリア」と「iphoneケース 透明」は人間は同じ意味だと理解できますが、検索エンジンは同じ意味として認識できません。
ページ内に「iphoneケース」と「クリア」という単語が入っていれば、「iphoneケース クリア」のページとして認識しますが「透明」という単語が入っていない場合は、「iphoneケース 透明」に関するページとは認識されません。
また、ユーザーが「お腹が痛いときの対処法」と検索した場合、以前の検索エンジンでは同じフレーズが含まれるページのみを表示する傾向がありました。RankBrainの導入により、検索エンジンはユーザーが腹痛の原因や緩和方法を知りたいと意図していることを理解し、医療サイトや健康情報を提供するページを表示します。
このように、検索クエリの意図を正確に把握できない問題を解決するために導入されたのがRankBrainです。
RankBrainは機械学習をおこない、検索したユーザーが知りたい事が何か人間と同じように検索クエリから読み取る事ができます。
RankBrainの仕組み
Rank Brainの仕組みを理解するためには、以下3つのポイントを抑えておく必要があります。
- Rank Brainが検索クエリの意図を理解する仕組み
- Rank Brainが新しい検索クエリの意図を理解する仕組み
- RankBrainがユーザー満足度を測定する方法
それぞれ詳しく解説します。
Rank Brainが検索クエリの意図を理解する仕組み
RankBrainは、検索クエリやWEBページのテキストを「ベクトル」と呼ばれる数学的なエンティティに変換し、言葉の意味や関連性を解析します。
例えば、ユーザーが「東京の天気予報」と検索したとします。RankBrainはこのフレーズ内の「東京」「天気」「予報」といった単語をベクトル化します。それぞれの単語は高次元の数値ベクトルとして表現され、意味的に関連する単語はベクトル空間内で近い位置に配置されます。
以下のようなイメージです。
- 「東京」のベクトルは「日本」や「首都」と近い位置にあります。
- 「天気」のベクトルは「気象」や「気温」と近いです。
- 「予報」のベクトルは「予測」や「速報」と関連します。
このように、人間が連想ゲームをやるように、RankBrainは数値的に解析することでユーザーの検索意図を理解します。
その結果、「東京の気象情報」や「今日の東京の気温」といった関連性の高い情報を持つWEBページを検索結果に表示できます。
RankBrain は、単語がコンセプトにどのように関連しているかを理解するための AI システムです。コンテンツと他の単語やコンセプトとの関連を理解することで、検索に使われた単語がすべて正確に含まれていなくても、関連するコンテンツをより適切に表示できるようになります。
Google 検索ランキング システムのご紹介「Google検索セントラル」
Rank Brainが新しい検索クエリの意図を理解する仕組み
ユーザーが「小さい探偵 彼女 名前」という、これまでに検索されたことのないクエリを入力したとします。RankBrainはこの未知のクエリを処理する際、まずクエリ内の「小さい探偵」「彼女」「名前」といった単語をベクトル空間で数値化します。
次に、それぞれの単語の意味や関連性を考慮し、既知のクエリやコンテンツと比較します。この場合、「小さい」と「探偵」の組み合わせから、「子供の探偵」や「少年探偵」、「彼女」と「名前」から、ユーザーが女性キャラクターの名前を知りたいと推測されます。
その結果、RankBrainは「名探偵コナンの女性キャラクター一覧」や「蘭姉ちゃん」など、ユーザーの意図に合致したWEBページを検索結果に表示します。
実際に、「小さい探偵 彼女 名前」のような曖昧なキーワードで検索してみます。
ばっちり意図した検索結果が表示されました。
このように、新しいクエリでもRankBrainは検索クエリから過去に検索された、「コナンの彼女」等のキーワードを参考にマッチした検索結果を表示させることができます。
RankBrainがユーザー満足度を測定する方法
RankBrainは、ユーザーの検索意図を反映した検索結果を表示できているかどうかを、ユーザーの行動データを分析することで間接的に評価しています。
例えば、ユーザーが「美味しいパンケーキの作り方」と検索したとします。検索結果に以下の2つのページが表示されました。
- 1位
サイトA:広告が多く、内容が薄いページ
- 2位
サイトB:分かりやすい画像付きでレシピを紹介するページ
ユーザーがサイトAをクリックしました。しかし、サイトAは広告ばかりで目的の情報が少なかったため、ユーザーはすぐに戻るボタンを押して検索結果に戻りました。
このような行動が多い場合、RankBrainはサイトAがユーザーのニーズを満たしていないと判断し、検索順位を下げることがあります。
続いてユーザーはサイトBをクリックしました。ユーザーは画像と説明文を参考にページを見ながらパンケーキを作ったため、10分間ページに滞在し、検索結果に戻った後に関連するキーワードで検索をおこなう事なく検索行動を終了させました。
これは、サイトBがサイトAよりもユーザーにとって有益であることを示しています。RankBrainはこのようなユーザー行動データを元に、検索結果が検索意図にマッチしているかどうかを自動的に評価し、ランキングの調整をおこないます。
RankBrain導入以降のSEOで覚えておく事
RankBrain導入以降の、SEOで覚えておくべき事は以下の5つです。
- 検索クエリごとに必要なランキングシグナルが異なる
- ユーザーの目的を達成させるためのコンテンツが必要
- 1キーワード1ページでコンテンツを作成する必要がなくなった
- クリック率を向上させるための施策をおこなう
- 滞在時間や再検索したかどうかを考慮する
それぞれ詳しく解説します。
検索クエリごとに必要なランキングシグナルが異なる
RankBrainが導入される前の検索アルゴリズムでは、ユーザーが検索窓に入力したキーワードがページ内に含まれているか、被リンクが多いかを中心に検索順位が決定されていました。
RankBrainが導入されてからは、Googleの検索アルゴリズムが検索クエリの意味を理解する事ができるようになったため、検索クエリによって異なるランキングシグナルが適用されます。
たとえば、「オリンピック 結果」というキーワードであれば、被リンク数や関連ページの数よりも、内容の鮮度が優先されるため、パリ五輪に関する最新情報を持つニュースページが検索結果の上位に表示されます。
具体的には、ページの鮮度やインデックス速度を重視し、検索エンジンが迅速に新しい情報をクロール・表示できる環境を整えることが求められます。
一方で、「オリンピック 歴史」というキーワードであれば新鮮さよりも、コンテンツの内容と被リンクや運営元の権威性が重要視されます。
このように、RankBrainは検索クエリの意図に合わせて必要なランキングシグナルを自動的に調整します。
RankBrainを始めとするGoogleのAI技術は、ユーザーの行動や検索意図を分析し、その時々に適したランキング要因を優先するように進化しています。
そのため、SEOにおいては、単一の施策に頼るのではなく、検索クエリごとに異なるシグナルを意識したアプローチをおこないましょう。
ユーザーの目的を達成させるためのコンテンツが必要
RankBrainの導入で、検索クエリの裏にあるユーザーの検索意図を理解する事ができるようになったため、ユーザーの検索意図を満たし目的を達成させる事ができるコンテンツの作成が重要になります。
例えば、「iphone 比較」というキーワードで考えてみましょう。
ユーザーの検索意図は、以下のようなものが考えられます。
- 新型iphoneのモデルごとの機能の比較を知りたい。
- 新型iphoneとこれまでに発売されたiphoneとの機能比較を知りたい
- iphoneと別のスマートフォンの比較を知りたい
どれがユーザーの検索意図に一番近いのかを知るためには、実際にキーワード検索をおこない上位に表示されているページの内容を確認して検索意図を把握した上で、コンテンツの作成をおこなう必要があります。
例えば、「iPhone 比較」というキーワードで上位表示されているページが新型iPhoneのモデル間比較を中心にしている場合、ユーザーの検索意図は①の「新型iPhoneのモデルごとの機能の比較を知りたい」である可能性が高いです。
したがって、自分のサイトでも新型モデルの詳細な機能比較や特徴、価格差などを分かりやすくまとめたコンテンツを提供すると、ユーザーのニーズに応えることができます。
このように、ユーザーの目的達成を最優先に考えたコンテンツ作成が、現在のSEOにおいて非常に重要となります。
1キーワード1ページでコンテンツを作成する必要がなくなった
RankBrainが導入される前の検索アルゴリズムでは、検索クエリの意図を正確に把握することができなかったため、1キーワード1ページのように、細かいキーワードごとにコンテンツを作成する必要がありました。
たとえば、キーワード「クレジットカード おすすめ」とキーワード「クレジットカード 人気」で、それぞれ別にコンテンツを作成する必要があったわけです。
一方、RankBrainが導入されてからは、Googleの検索アルゴリズムが検索クエリの意味が理解できるようになったため、キーワードの検索意図が同じであれば個別にコンテンツを作成する必要がなくなっています。
そのため、「クレジットカード おすすめ」とキーワード「クレジットカード 人気」で上位表示を狙う場合は、1つのページを作成するだけでどちらも検索結果に表示されるようになります。
現在は、検索意図が同じページを複数作成すると、検索エンジンがどちらのページを評価して良いのか判断に迷うため検索順位が安定しなくなる場合があります。
クリック率向上させるための施策をおこなう
RankBrainはユーザーにとって適切な検索結果を表示させる事ができているかどうかを、ユーザーの行動データを元に調整しています。その方法の1つとして検索結果ページでのクリック率(CTR)が利用されています。
ユーザーが検索結果であなたのサイトを頻繁にクリックする場合、Googleはそのページがユーザーの検索意図に合致しており有用であると判断し、検索順位が向上する可能性が高まります。
逆にクリック率が低い場合は、検索意図に合っていない、または魅力的でないと見なされ、順位が下がるリスクがあります。
クリック率を高めるための具体的な方法は、以下の通りです。
- 魅力的なタイトルタグを作成する
- 魅力的なメタディスクリプションを作成する
- 構造化データを活用してリッチリザルトを表示させる
タイトルタグには、ページの内容を表すキーワードを入れたり、括弧や数字を使うなど検索結果上で目立つようにします。クリックされやすいタイトルタグを作成するポイントは、別の記事で詳しく解説しています。
RankBrainによる評価を落とさないためにも、クリック率を意識したタイトルタグを設定しましょう。
滞在時間や再検索したかどうかを考慮する
RankBrainは、クリック率の他にもユーザーがWEBページに滞在した時間や再検索したかどうかのデータを元に、ユーザーがページの内容に満足しているかどうかを判断しています。
ユーザーが検索結果上でクリックしたWEBサイトの滞在時間が長いほど、ユーザーがコンテンツに興味を持ち、満足していると判断されます。
ただし、滞在時間が長くても検索結果画面に戻った後に別のサイトをクリックしている場合や、再検索して別のサイトをクリックしている場合は、最初に訪れたサイトで目的を達成させる事ができなかった可能性があると判断されます。
そのため、自社のコンテンツの品質を高めたり、関連するページへの内部リンクを設置する、ページの表示速度を改善する、ページのユーザビリティを改善するといった施策をおこなう事が重要になります。
RankBrainのアルゴリズムは、ユーザー行動を評価することで、コンテンツの有用性や信頼性を判断しています。そのため、クリック率を高め、直帰率を下げ、滞在時間を延ばす工夫が不可欠です。
RankBrainに関するよくある質問
RankBrainとBERTの違い
RankBrainとBERTの違いは、導入された時期と機能、対象とする検索クエリです。Googleの検索アルゴリズムに導入された技術であるという点については変わりません。
RankBrainは2015年に導入され、BERTは2019年に導入されました。RankBrainはAIシステムであり、BERTは自然言語処理技術です。
RankBrainはユーザーが使用するすべての検索クエリを対象として機能しており、「検索に使われた単語がすべて正確に含まれていなくても、関連するコンテンツをより適切に表示できる」点がポイントです。
一方、BERTは自然言語の文脈を理解する必要がある検索クエリを対象として機能しており、「単語の組み合わせによって多様な意味や意図がどのように表現されるかを理解できる」点が最大の特徴となっています。
RankBrainはGoogleアルゴリズムの中でどの程度重要ですか?
RankBrainが導入された当時、Googleの上級研究科学者、グレッグ・コラード氏は、Google検索アルゴリズムの中に数百あると言われるシグナルのうち、1番目と2番目はコンテンツとリンクで、RankBrainが3番目に重要なシグナルだと述べています。
一方、Googleのジョン・ミューラー氏は2017年に「Google検索アルゴリズムのシグナルにトップ3のリストなんてない」と否定しています。
どのシグナルが重要なのかは検索クエリのタイプによっても変化するため、RankBrainだけを意識するのではなくユーザー目線でコンテンツを作成することが重要です。
まとめ
AIシステムRankBrainが2015年に初めてGoogle検索アルゴリズムに導入されたことで、キーワードだけを意識してコンテンツを作成しただけでは上位表示することが困難になりました。
現在のSEOでは、検索意図を満たすコンテンツの作成がより重要になっています。本記事で解説したRankBrainの仕組みやSEOに与えた影響、RankBrainを考慮したSEOの手法を参考に検索意図を満たすコンテンツを作成し、検索上位表示を目指しましょう。
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