SXOとは?SEOとの違いや対策方法を解説
SXO(Search Experience Optimization)とは、「検索体験最適化」を意味する言葉で、 検索ユーザーが検索エンジンを使ってほしい情報を得るまでの一連の体験の価値を高める施策のことです。今回は、これから取り組む方に向けてSXOとSEOの違い、SXOで重要な要素と対策方法について詳しく解説します。
SXOとは?
SXO(Search Experience Optimization)は、検索エンジン最適化(SEO)をさらに進化させた概念で、検索体験の最適化を目的としたWEBマーケティング手法です。
現在のGoogleはコンテンツの内容やリンクだけではなく、ユーザー行動やユーザビリティに関するシグナルも評価の対象にしています。そのため、検索エンジン向けに最適化する施策(SEO)をおこなうのではなく、「ユーザーにとって価値のある体験を提供できるWEBサイトを目指していこう!」という概念がSXOです。
元々Googleの検索アルゴリズムは、コンテンツの量や関連性とリンクなどテクニカルな指標だけでページを評価していたアルゴリズムでした。
しかし、2015年にGoogleが発表した「rank brain」によって、検索クエリの意味を理解する能力の向上と、ポゴスティッキングを活用してユーザー行動を評価の指標とするアルゴリムに変化していきました。
これにより、「検索意図」と「ユーザビリティ」の重要性に注目が集まり、ユーザー体験を最適化するSXOが注目される事になりました。
SXOを正しく理解するために、まず前提をおさえておきましょう。
検索体験とは
冒頭で「SXOは検索体験の最適化である」と述べましたが、、そもそも検索体験とはなんでしょうか?「検索体験」とは、ユーザーのニーズが検索によって満たされることを指します。
以下のように分解すると、イメージがしやすいでしょう。
【SXO検索体験プロセス】
- 【意図】 ニーズの発生
- 【検索】 ニーズに関連した単語の検索
- 【表示】 検索結果ページの表示
- 【選定】 ニーズを満たしそうなサイトへのアクセス
- 【閲覧】 コンテンツの閲覧
- 【獲得】 求めていた情報のニーズの充足
この一連の行動を検索体験といいます。
このあとに、
7. 【行動】 ニーズが満たされ次のアクションを行う
が続きますが、検索体験の先の話なので今回は割愛します。このように検索体験とは、ユーザーが検索エンジンを使って検索をおこなう一連の流れのことを指します。
SXOが提唱されたきっかけ
SXOは、いつ頃から言われていた概念なのでしょうか?
恐らく、2012年11月にGoogleの検索エンジンのアルゴリズムなどを担当していた、マット・カッツ氏がYouTubeで言及している事が発端になってると考えられます。
動画の中で、マット・カッツ氏は以下のように解説しています。
「SEOという言葉を切り口に強引でかつ悪徳な営業手法や、ユーザーを二の次にしたテクニカルなSEO対策が非常に多くみられ、堅実でマーケティング志向な優良なSEOが世論に埋もれてしまっている。SEOという呼び方は、本来の検索エンジンの方針からしても適していない印象を持たれてしまっているので、Search Experience Optimizationという捉え方でユーザーの体験を第一にしたら、もっとマーケティングがSEOにとって重要視されるようになるのではないか?」
アメリカのSEO関連の記事や、SEO会社のサイトでも2012年頃から、「Search Experience Optimization」という単語が散見されます。
その後、2015年にはSearch Engine LandがSXOをテーマにした記事「From SEO To SXO: Search Experience Optimization」の公開などをした事から、徐々にSXOの認知が広がっていきます。
2015年頃は、2012年に実施されたペンギンアップデートなどに見られるペナルティ処置を受けて、コンテンツマーケティングやコンテンツSEOなどが国内のSEO業界の主流になっていた時期でした。
コンテンツSEOとは、「ユーザーにとって役に立つ良質なコンテンツが検索エンジンに好まれる」という「コンテンツを軸にしたSEO対策」です。当然「ユーザーにとって良いコンテンツ」を求めていくと、「ユーザーの検索意図に合う良質なコンテンツやページ作りを」という発想になるため、ユーザー体験の向上に直結します。
このような背景から、「SXO」という言葉がコンテンツSEO重視のSEO会社にとって分かりやすい概念として広まったと考えられます。
SXOとSEOの違いについて
SEOとSXOは、どちらもWEBサイトのパフォーマンスを向上させる手法ですが、アプローチと目的に違いがあります。
2015年以前のSEOでは、「検索ユーザーの検索意図よりも、検索キーワードがページの中にどのくらい入っているのか?」「検索キーワードに関連する共起語やLSIキーワードがどのくらいあるのか?」など、検索エンジンのアルゴリズムに適応するための施策を中心におこないます。
そのため、検索体験をカバーしているとは言えません。
一方で、SXOはユーザー体験に重点を置き、検索の意図に対して、良質なコンテンツを提供することや検索エンジンから訪問したユーザーが求める情報をスムーズに得られるよう、WEBサイト全体を最適化することを目的としています。
また、SEOはクリックされることに注力し、検索結果における上位表示やアクセス数の増加がゴールとなりますが、SXOは訪問後の体験を含めたユーザー満足度を追求します。
たとえば、SEOでは適切なキーワードを含むページを作成することが主な目標となりますが、SXOではそのページがユーザーにとって分かりやすく、操作しやすい設計であることや、問題解決に役立つ情報が含まれているかが問われます。
そのため、SEOが検索エンジン向けの最適化であるのに対し、SXOは検索エンジンとユーザーの両方を重視する、より包括的なアプローチであると言えます。
比較項目 | SXO | SEO |
---|---|---|
最適化する対象 | ユーザー(の検索体験) | 検索エンジン |
向上させる対象 | ユーザーの満足度 | 検索順位・アクセス数 |
SXOで重要な3つの要素
クロスフィニティ株式会社の松野氏の解説を元に、SXOをおこなう上で重要な3つの要素について解説します。
3つの要素は以下になります。
- ユーザービリティ
- レリバンス
- オーソリティ
この3つの要素は2016年に提唱された要素ですが、2024年の現在でも重要な要素だとSEM Plus編集部では考えています。
それぞれ解説します。
ユーザーにとっての使いやすさや分かりやすさです。具体的にはモバイルフレンドリーや表示速度、分かりやすいサイト構造などが該当します。
2. レリバンス(適合性)検索意図に的確な情報を与えられているか?という考え方です。クエリとコンテンツの関連度だけでなく、検索意図や検索ニーズに沿ったコンテンツを用意できているか?がポイントです。
検索結果に表示される「関連する質問」や「上位サイトの傾向」などから、レリバンスを意識したコンテンツを作成します。
オーソリティとは、サイトやページの持つ信頼性を指します。具体的には、サイト管理者やページの作成者(企業)の信頼性や、記事の情報の正確性、企業としてのブランド力(認知度)、信頼性の高いサイトからの被リンクなどが重要視されます。
本記事の後半にSXOの対策方法について解説しますが、この3つの要素が対策をおこなう上での基本となります。
SXOに取組む上での準備
SXOに取り組む前に、「検索体験とはどのようなプロセスで構成されているのか?」また、「各プロセスに対してどのような施策を打ち手としておこなえば良いのか?」を考えます。
本記事では、
- 検索体験プロセスの分割
- プロセスごとに最適な施策
についての考え方を紹介します。
検索体験プロセスを分解する
SEM Plus編集部では、SXOとは「ユーザーの検索意図を満たし最短距離で目的を達成させてあげる事」だと定義しています。そのためには、ユーザの中で気になる事や調べたい事を思いついてから、その情報を取得するまでの行動プロセスを分解して考える必要があります。
ユーザー行動プロセスを分解すると、以下のように6つの項目で分ける事ができます。
① 意図 | ② 検索 | ③ 表示 | ④ 選定 | ⑤ 閲覧 | ⑥ 獲得 |
---|---|---|---|---|---|
ニーズの発生 | ニーズに関連した単語で検索 | 検索結果ページが表示される | 特定のサイトをクリック | ぺージの閲覧 | 求めていた情報の取得 |
ユーザーの気持ちや行動を想像しながら、分解した行動プロセス1つ1つに対して最適化な施策を落とし込む事が、SXOを始める最初のステップです。
ユーザーの行動プロセスはWEBサイトの種類や認知度によっても異なるため、自社のWEBサイトにアクセスするユーザーを想定してプロセスを分解してみましょう。
プロセスごとに最適な施策を考える
プロセスを分解したら、それぞれの項目に対してどのような施策をおこなうか解像度高く洗い出します。
先ほど分解したプロセスを例に施策を当てはめると、次のようになります。
- ① 意図
自社のペルソナ・ターゲットを設定する
- ② 検索
ユーザーが検索するキーワード群を選定する
- ③ 表示
選定したキーワードごとに検索意図を考えたページの作成
- ④ 選定
ユーザーがページの内容を想像しやすいようにタイトルやリッチリザルトの調整
- ⑤ 閲覧
ページに遷移したユーザーがストレスを感じないように表示速度やUI/UXの調整
- ⑥ 獲得
CTAの工夫やABテストを元にした改善
このように、SXOでは検索順位を上げるための施策ではなく、WEBサイトに訪問するユーザーの検索行動プロセス全体を意識して施策を考えていく事が重要となります。
検索ユーザーが自分の目的を達成するために、何を考えてどのように行動するのかを徹底的に考えることで、SEOにも強いだけではなくユーザーから支持されるWEBサイトを作ることができます。
行動プロセスごとに施策を考える方法として、実際に自身がユーザーの立場にたって検索をおこなった時に選択する判断材料となった要素を書き出していくのが効果的です。
SEM Plusでは、クライアントのSEOをおこなう際はSXOを意識して、クライアントのお客さんになった事をイメージしながらプロセスごとに施策を考えるようにしています。
SXOの対策方法
SXOの対策方法として、次のものが挙げられます。
- モバイルフレンドリー
- ページの表示速度
- E-E-A-T
- ニーズメット
- 信頼できるページへの発リンク
- ページタイトル・リッチリザルト
- UI/UXの改善
それぞれ具体的に解説します。
モバイルフレンドリー
モバイルフレンドリーとは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスからWEBサイトを訪れるユーザーに対して、表示を最適化することです。
CXOではユーザー体験が重要視されるため、デバイスのサイズに合わせた利用しやすいWEBぺージを作成する必要があります。
具体的には、画面サイズに応じて自動的にレイアウトを調整する「レスポンシブデザイン」を採用したり、文字やボタンのサイズを適切に設定して、操作性を高めることが挙げられます。
また、現在のGoogleはモバイルページを優先的にクロールしてインデックスをおこなうモバイルファーストインデックスをおこなっているため、SEO的な観点で見てもモバイルフレンドリーなWEBサイトを作成する必要があります。
ページの表示速度
ページの表示速度も、ユーザー体験の満足度に影響するためSXOにおいて重要です。
また、Googleはページの表示速度をランキング要因として評価しているため、ページの表示速度はSEOにも直接影響を与えます。そのため、実際に自社のWEBサイトを開いた際に、体感的に遅いと感じるのであればすぐに改善すべきです。
ページの表示速度を改善するには、「画像のファイルサイズを圧縮しWebP形式を活用したり、デバイスに適したサイズで表示するなどの画像最適化」「ブラウザキャッシュを設定して再訪問時のロード時間の短縮」「未使用のJavaScriptやCSSを削除してリソースを最適化」などが挙げられます。
E-E-A-T
SXOでユーザー体験を最適化するためには、WEBサイトがユーザーにとって信頼できる情報源である事も大切です。そこで、検索品質評価者がWEBサイトの品質を評価するための指標、E-E-A-Tとは(体験、 専門性、 権威性、信頼)を意識した施策をおこないます。
例えば、「iPhoneの電源が入らなくない場合の対処法」であれば、一般人が作成したコンテンツよりも、iPhone修理店が書いたコンテンツの方が専門性が高く信頼できるコンテンツと言えます。
また、PR活動やマーケティング活動によって自社の知名度が上がりブランド力が高まれば、権威性の高いサイトとしてより信頼感をユーザーに与えることができます。
また、E-E-A-Tの高いWEBサイトは、Googleからも評価されやすいため検索ランキングの上昇も期待できます。ユーザーにとって信頼できるWEBサイトとなり、質の高いユーザー体験を提供しましょう。
ニーズメット
ニーズメットとは、Googleが検索結果を評価する際に重視する概念で、検索ユーザーが求める情報や解決策を的確に提供し、その期待に完全に応えているかどうかを判断する指標です。
SXOやSXOは検索するユーザー自身に焦点を当てているため、ページを閲覧したユーザーの疑問を解消し、満足感を提供するニーズメットなコンテンツを作成することが求められます。
例えば、ユーザーが「スマートフォンの選び方」というクエリで検索した場合、SXOを実践するのであれば、「選び方のポイント」だけでなく、「最新モデルの比較」や「予算に合わせたおすすめ」など、ユーザーが想定するニーズを想像してコンテンツを作成します。
信頼できるページへの発リンク
ユーザー体験を向上させる上で、信頼できるページへの発リンクも重要な要素になります。
情報の根拠となるデータや、情報が記載されている信頼性の高いページに向けた発リンクを設置することで、ユーザーはページ内の情報を信頼できます。
優れた検索体験を提供するためには、ただ解決策を記載するだけではなく、ユーザーが自信をもってベストな解決策だと思ってもらえるように、情報の根拠となる引用元を掲載するようにしましょう。
ただし、不適切なサイトや信頼性の低いページにリンクを設置すると、逆にサイト全体の信頼を低下させる事に繋がります。また、リンクを過剰に挿入すると、ユーザーがページ内で迷ってしまうユーザビリティの悪いページになるため適度なバランスが求められます。
ページタイトル・リッチリザルト
検索結果画面でユーザーが目的の内容が記載されているページを選びやすいようにしてあげる事も、ユーザー体験を向上させる上で重要です。SXOに取組むサイト運営者としては、検索結果上に表示されるテキストやスニペットをコントロールして、サイトの内容を分かりやすく伝える施策を実行する必要があります。
サイト運営者側でできる施策は、主に次の2点です。
- ページタイトル
- リッチリザルト
ページタイトルとは、検索結果画面に表示されるWEBページのタイトル部分を指します。ページの内容を一目で理解できるようなタイトルを付ける事で、クリック率の向上やその後の離脱率の低下につながります。
リッチリザルトは、検索結果において通常のテキスト情報に加えて、画像や評価、価格情報などの追加情報を表示する機能です。リッチリザルトを活用するためには、構造化データを実装し、検索エンジンがページ内の情報を正確に理解できるようにする必要があります。
UI/UXの改善
SXOではUI/UXの改善も重要な対策の一つです。ここで言うUI/UXの向上とは単に見た目を良くするだけでなく、ユーザーが目的の情報に迷う事なく、迅速にアクセスできる環境を整えることを意味します。
例えば、記事ページであればコンテンツの読みやすさを意識して適切なフォントサイズや行間、段落分け、表や画像を使って読みやすく理解しやすいようなページに整えます。
サイト全体では、メニュー構造を分かりやすくしたり、内部リンクを整理することで、ユーザーが迷うことなく目的の情報にたどり着けるように最適化します。
どんなに良い情報が乗っていても、見づらかったり使いづらいWEBサイトはGoogleからも評価されないため、UI/UXの改善もしっかりとおこなっていきましょう。
まとめ
今回はSXOについて解説しましたが、本記事で紹介したSXOを既にSEOとして取り組んでいる方も多いのではないでしょうか?現在のSEOは、検索エンジン向けのテクニカルな施策だけでは成果を上げることができず、ユーザーに寄り添った施策が求められます。
従来の技術要件重視の施策、ユーザー体験重視の施策どちらも、WEBサイトからの集客を最大化するためには避けては通れない要素となるため、SXOを意識したWEBサイト運営を目指して頂ければと思います。
なお、WEBサイトを通してどのように価値の高いユーザー体験を提供できるのか分からない方や、リソースがないため施策に取り組めない方は、気軽にご相談くださいませ。
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